「知られざる自然派のパイオニア:北摂ワインズが惚れた生産者たち」オーストラリアの未来を味わう革新的ワイナリーRICCA TERRA
「知られざる自然派のパイオニア:北摂ワインズが惚れた生産者たち」シリーズvol.5
〜市場を動かす革新力、持続可能性と品質で築いたRICCA TERRAブランド〜
こんにちは、北摂ワインズです。 『ナチュラルワイン手帖』にお越しいただきありがとうございます。
ナチュラルワインを手に取るとき、あなたは何を思いますか?
そのグラスに注がれた色や香り、味わいが、どこかの畑の土壌や太陽の光、そして作り手の情熱を映し出していることに気づく瞬間があるかもしれません。
現代では、気候変動や環境への配慮がますます重要になり、ワイン業界もその波に乗り遅れまいと進化を続けています。
そんな中、オーストラリアのリバーランドから、未来を見据えた新しいナチュラルワインの物語が響き始めました。それが、RICCA TERRA(リッカ・テッラ)です。
彼らは、伝統を飛び越え、持続可能な未来と美味しいワインを両立させる挑戦を続けています。
このブログでは、RICCA TERRAが描く夢とその革新的な取り組みを紐解いていきます。一杯のナチュラルワインが、どれほどの可能性を秘めているのか、一緒に覗いてみませんか?
新しいワインの物語が始まる場所
オーストラリアのリバーランドと聞くと、果てしなく広がるブドウ畑と、手頃な価格で大量生産されるワインのイメージが浮かぶかもしれません。かつては「バルクワインの産地」として知られ、品質よりも量が重視されてきたこの地域ですが、RICCA TERRA(リッカ・テッラ)は、そんな固定概念を大胆に打ち破る存在です。
温暖化が進む現代の気候に適したブドウ品種を見極め、サステナブルな栽培方法で高品質なナチュラルワインを生み出すこのワイナリーは、単なる生産者を超え、ワイン業界に新たな物語を刻んでいます。
「Ricca Terra」という名前はイタリア語で「豊かな大地」を意味し、リバーランドの赤土と石灰岩が織りなす肥沃な土壌、そして自然への深い敬意を象徴しています。
アシュリー・ラトクリフ(Ashley Ratcliff)とホリー・ラトクリフ(Holly Ratcliff)夫妻が2003年に小さな畑から始めたこの挑戦は、今や80ヘクタールを超える規模に成長し、オーストラリアのみならず世界のワイン愛好家から注目を集めるまでになりました。
彼らのワインは、環境への配慮と卓越した味わいを両立させ、飲むたびに土地の力強さと未来への希望を感じさせてくれます。今回は、RICCA TERRAが切り開く革新的な取り組みと、その魅力の秘密に迫ります。あなたがナチュラルワインに求めるものが、少し変わるかもしれませんよ!
RICCA TERRAのルーツ:小さな畑から始まった夢
RICCA TERRAの物語は、2003年にアシュリー・ラトクリフ(Ashley Ratcliff)とホリー・ラトクリフ(Holly Ratcliff)夫妻がオーストラリアのリバーランドで8ヘクタールの小さなブドウ畑を購入したことから始まりました。この土地は、当時「バルクワインの産地」として知られ、安価なワイン用のブドウが大量に栽培される場所でした。しかし、アシュリーには異なる夢がありました。彼は、ただブドウを育てるだけでなく、リバーランドの可能性を再定義し、品質と革新性を追求したワイン造りを目指したのです。
アシュリーは、ブドウ栽培者(viticulturist)として20年以上の豊富な経験を持っていました。1992年にオーランド(Orlando)でキャリアをスタートさせ、その後オーストラリアを代表するワイナリー、ヤルンバ(Yalumba)で15年間にわたり技術者や管理者として活躍。干ばつ地域でのブドウ栽培に関する4つの賞を受賞するなど、その専門性は業界で高く評価されていました。しかし、彼は伝統的なワイン造りの枠組みに疑問を抱きます。「なぜ温暖で乾燥したオーストラリアの気候で、フランス原産のシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンに固執するのだろう?」この問いが、RICCA TERRAの革新的な方向性を生み出すきっかけとなりました。
その答えとして、アシュリーは地中海原産の品種に注目しました。シチリアのネロ・ダーヴォラやフィアーノ、スペインのテンプラニーリョ、ポルトガルのティンタ・バロッカなど、温暖で水の少ない環境に適したブドウを選び、リバーランドの赤土と石灰岩の土壌で育て始めたのです。これらの品種は、灌漑を最小限に抑えても豊かな風味を発揮し、サステナブルな栽培を可能にしました。
夫妻の情熱とアシュリーの知識が結実し、小さな8ヘクタールの畑は今や80ヘクタール以上に拡大。ネロ・ダーヴォラのスパイシーな赤ワインや、フィアーノの柑橘系の爽やかさなど、個性豊かで高品質なブドウが育ち、RICCA TERRAをオーストラリアワイン界の新星へと押し上げています。彼らの夢は、小さな一歩から始まり、今や世界に広がる大きなうねりへと成長したのです。
気候変動に立ち向かうブドウたち
RICCA TERRAの最大の特徴は、気候適応型のブドウ品種を採用していること。温暖で乾燥したリバーランドの環境では、水が貴重です。そこで彼らは、シチリアやスペイン原産の干ばつに強い品種を選びました。例えば:
- フィアーノ: 爽やかな酸味と柑橘系の香りが楽しめる白ワイン。
- ネロ・ダーヴォラ: スパイシーで深みのある赤ワイン。
- モンテプルチャーノ: 長期熟成も可能な濃厚な味わい。
これらの品種は少ない水で育ちつつ、驚くほど豊かな風味を生み出します。伝統的なシャルドネやカベルネに頼らない選択が、RICCA TERRAのワインに独自性を与えています。
サステナビリティはワインの味にも影響する
RICCA TERRAでは、サステナビリティが単なる環境への配慮にとどまらず、ワインの味わいそのものに深く影響を与えています。例えば、彼らは機械に頼らず手作業で丁寧にブドウを収穫し、果実の繊細な風味を損なわないよう心がけています。
さらに、自然酵母を使った発酵を取り入れることで、人工的な介入を避け、ブドウ本来の個性やテロワール(土地の特性)が際立つ自然な味わいを引き出しているのです。添加物も最小限に抑え、ヴィーガン対応のプロセスを採用することで、純粋でクリーンな風味を実現—これも彼らのこだわりの一つです。
また、環境負荷を減らすための工夫が、ワインの品質に独自の魅力を加えています。マルチ(土壌を覆う資材)や最新の灌漑技術を駆使して水を節約し、干ばつに強いブドウ品種を選ぶことで、過度な水やりによる味の薄まりを防ぎ、凝縮感のある果実味と生き生きとした酸味を生み出しています。
リバーランドの赤土と石灰岩が織りなすミネラル豊富な土壌は、こうしたサステナブルな栽培法によってさらに引き立ち、ブドウに深みと複雑さをもたらします。結果として、RICCA TERRAのワインは、自然そのものの力強さとピュアな風味をボトルに閉じ込めた、まさに「飲むサステナビリティ」と言える仕上がりになっているんです。
醸造委託の背景と目的
RICCA TERRAのアシュリー・ラトクリフ(Ashley Ratcliff)は、ブドウ栽培者(viticulturist)としてキャリアを積んだ人物で、2003年に妻ホリーと共にリバーランドで畑を購入し、品質重視のブドウ栽培に注力しました。
当初は自社畑のブドウを他のワイナリーに供給することを目指していましたが、2017年からは「Ricca Terra」や「Terra do Rio」といった自社ブランドでワインをリリース。一方で、全てを自社で醸造せず、一部の生産をフィリップ・レーマンやアンドリュー・クインなどの著名な醸造家に委託することで、多様なスタイルのワインを生み出し、ブランドの認知度と価値を高めています。
この委託戦略の背景には、アシュリーの明確なビジョンがあります。彼はリバーランドを「バルクワインの産地」という従来のイメージから脱却させ、プレミアムワインの産地として再定義することを目指しており、BellwetherやShaw + Smithといった革新的なワイナリーとの協力を通じて、RICCA TERRAのブドウが持つポテンシャルを最大限に引き出しています。
これにより、品質の多様性や市場拡大、地域全体の評価向上を実現。彼の柔軟なアプローチは、サステナビリティとマーケティング意識を融合させ、リバーランドのワイン産業に新たな成功をもたらしているのです。
世界が認めた実力:5つ星と高評価の嵐
RICCA TERRAは、オーストラリアのワイン評価誌「Halliday Wine Companion」でリバーランド初の5つ星を獲得。さらに、複数のワインが95点以上の高スコアを記録し、2021年には「Young Gun of Wine」で「Innovative Vineyard of the Year」を受賞しました。英国や米国への輸出も拡大中で、世界中のワインラバーがその味に注目しています。
彼らの素晴らしさは、サステナビリティを軸にしたマーケティング戦略にも表れています。アシュリーとホリーは、単に環境に優しいワイン造りを追求するだけでなく、気候変動に適応したブドウ品種の採用や水資源の節約をブランドの核に据え、国際市場で独自の地位を築きました。この先見性と実践力が、リバーランドのイメージを刷新し、持続可能性を求める現代の消費者から高い支持を得ているのです。
代表的なナチュラルワインをチェック!
皆様にぜひ試してほしいRICCA TERRAのワインをいくつかピックアップ!
華やかなアロマが魅力のゲヴュルツトラミネールを使用したペットナット。程よい旨みと酸が調和した辛口ながら、アロマティックな香りが印象的で、とてもキャッチーな仕上がりです。ふわりと広がる芳醇な香りが魅惑的で、思わず心を奪われるような一本です。
リッカ・テッラの評価を確固たるものにした、地中海系品種を用いた白ワイン。
瑞々しい洋ナシやリンゴの果実味に、白い花の香り、そして食欲をそそるミネラル感が絶妙に調和した辛口です。ヴェルメンティーノ、グルナッシュ・ブラン、フィアーノの3品種をブレンドした2024年ヴィンテージは、フレッシュな果実味と食事との相性を引き立てるミネラル感、そして華やかなフローラルな香りが際立つ一本。
まさに「ブロンコ・バスター」らしさがしっかりと表現されています。
酸味とミネラル感に、マスカット由来の華やかでアロマティックな香りが重なる辛口の白ワイン。昨年よりも全体的にドライな仕上がりとなっており、そこにマスカット特有の甘やかで芳しいアロマが絶妙なバランスで加わります。
エスニック系の料理との相性は今年も健在。香辛料やハーブを使った一皿に寄り添い、ペアリングの頼れる一本として重宝しそうです。
白濁したイエローカラーが印象的な、ライトスタイルのオレンジワイン。トレッビアーノ、グルナッシュ・ブラン、グレコの3品種を混醸し、約7日間のスキンコンタクトを経て造られています。
グラスに注ぐと、柑橘系フルーツの爽やかな香りに加え、ピーチティーを思わせる柔らかなアロマとテクスチャーが広がります。フレッシュで軽やか、かつ個性的な風味が絶妙に共存。
リッカ・テッラらしい自由な発想と確かな技術が光る一本で、似たスタイルのワインがなかなか思い浮かばない、唯一無二の存在です。
リッカ・テッラで最も人気を誇る赤ワイン。その名の通り、収穫からわずか数か月後、6月には現地でリリースされるフレッシュな一本です。
2024年ヴィンテージは、ネグロアマーロとネロ・ダーヴォラというイタリア系ブドウのコンビネーション。野イチゴや赤スグリを思わせるフレッシュで可愛らしい赤系果実のニュアンスがぎゅっと詰まっています。
ジューシーで軽やかな飲み口ながら、ネロ・ダーヴォラ由来と思われる締まりのあるタンニンが程よいアクセントに。親しみやすさと奥行きを兼ね備えた、リッカ・テッラらしさが光る仕上がりです。
RICCA TERRAから学ぶ未来のワイン
RICCA TERRAは、単に美味しいワインを造るにとどまらず、気候変動やサステナビリティに真剣に取り組むワイナリーとして、世界のワイン業界に新しいスタンダードを示しています。彼らは地中海品種の採用や環境配慮型の栽培を戦略的に打ち出し、英国、米国、カナダ、ベルギー、日本など国際市場で注目を集めるブランドを築き上げました。
そのマーケティング意識は、オーストラリアの「Halliday Wine Companion」でリバーランド初の5つ星を獲得し、95点以上の高評価を連発する実績にも表れています。2021年の「Young Gun of Wine」で「Innovative Vineyard of the Year」を受賞したことも、彼らの先進性が世界に認められた証です。
RICCA TERRAのナチュラルワインを飲むことは、単なる味覚の楽しみを超え、リバーランドの「豊かな大地」と持続可能な未来への希望を味わう体験になります。サステナビリティと品質を両立させる彼らの姿勢は、ワイン業界全体が学ぶべき未来像を提示していると言えるでしょう。
関連リンク: 北摂ワインズオンラインショップで季節のナチュラルワインをチェック
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